英文和訳演習 (上級篇) (駿台受験シリーズ) 伊藤 和夫(著) 795円

精読の本道。
中級編の英文がやや平易(ただし、設問はかなり難しい)であるのにくらべ、
上級編は本道です。本書には書き換えや空所補充などのオカズはなく、下線部
逐次和訳のみが課されています。
代ゼミの「ポレポレ」、「解テク101」、旺文社の「基礎英文精講」、
「透視図のチャレンジ問題」とレベルは同じ。
ただ、採点基準に沿った解説のシルクのような肌理の細かさは、どうでしょう。
面倒がらずに「the」も「it」も訳出する訓練をしようというのですから、
東大も京大もないでしょう。
よそでは絶対手に入らない、非常に良い問題集だと思います。
これの次は育文社「思考訓練の場」の1巻をオススメします。
英文レベルは同じですが、別の感動をお約束します。
入試では。。。
いい本だと思います。
解説も丁寧ですし、構文の取り方に関する説明も「上級者に必要なことだけ」にとどめています。全体的に無駄がないように感じました。「下線部和訳中の代名詞を訳すべきかどうか」などもわかりやすく説明されていました。
ただ英語の文章自体が難しく、「現在の大学入試でここまで難解な英文を出す大学ってあるのかな?」と思いました。京都大学の下線部和訳でももう少し易しいと思います。ですので相当腕に自身があり、他の科目にも余裕があるという人以外は「受験という観点から考えれば」使う必要はないと思います。
難関大以外は必要なし
とりあえず京大クラスの和文英訳がでない大学では(つまり、日本のほぼすべての大学では)必要ないだろう。
英文和訳については一部の実用英語至上主義者などに批判されることも
多いが、それは英語を目的としている人たちの的を外れた意見である。
はっきりいってしまえば受験英語は目的ではない、手段である。
一つは大学に合格するための、またもう一つは大学に入学してからの研究の際に必要なだけであって、
別に日常会話を習得するためにあるのではない。
とくに京大がなぜ何十年も和文英訳と英文和訳にこだわって出題しているか、
そういう輩は理解していない、いや理解しようともしていないのではないか。
また、東大、京大クラスになると英文を理解したからといって訳文がかけるわけではない。
伊藤氏も述べているように読めることと訳せることはまた別の次元の話なのであって、
このほんはその「訳す」能力を伸ばすことに特化した参考書なのである。
和訳は本筋から外れている
英文を和訳させて点の違いを競わせるようなおかしな入試のせいで、このようなものが出版される。和訳は英語学習の本筋から外れている。英語を理解する能力とそれを日本語に置き換える能力はまったくの別物である。イギリス人やアメリカ人が英語を日本語に通訳できないからといって、彼らが英語を理解していないなどといえないことを考えれば明白である。プロの通訳や翻訳家を目指すならともかく、通常の英語学習に和訳を持ち込むことは根本的に誤りであると知るべきである。
採点方法を知る強み
英語に自信がある方でも模試などの英→和や和→英で満点をとるのは難しいのではないでしょうか?本書では実際、採点者がどこを見るのか、どのように採点するのか、どこまでが許容範囲かということか明確に示されており、すでに実力のある方の一段の得点力アップが期待できます。ただ初版(1984年)以来改訂が無いようなので、たとえばカタカナ語はどこまで許されるかなどの問題においては、果たしてこの線引きが今でも通用するのか、という疑問は残ります。
ですが、やはりこの本の最大のメリットは「点数を落とさない訳しかた」を教えてくれることであり、この点において本書はいまだまったく色あせていないと思われます。