英文和訳演習 (基礎篇) (駿台受験シリーズ) 伊藤 和夫(著) 632円

英語学習に和訳は不要
英文和訳の方法を長々と説明しているが、そもそも和訳とは英語と日本語の双方を理解してこそできることである。通訳家や翻訳家になるための訓練としてならともかく、英語の理解が覚束ない高校生のすることではない。英文和訳が大学入試の主流であるのは事実であるが、だからといって和訳が正しい学習方法というわけではない。
英語学習の道標
巷間では『多読、多読』と高校受験対策の頃からいわれ、根本的に自分の学習法で「何が悪かったのか?」がわからなかった方。ぜひこの本から始めてみてください。
この本は伊藤先生が毎回作っていた「駿台模試」や駿台の「校内テスト」で使われた問題を中心に編まれたもので、この基礎編は高1レベルから高2レベルの問題を扱っています。問題が1ページ以内のごく短く、大学受験生には平易に感じられるかもしれません。それに対し解説が5ページくらいさかれています。そして(少なくとも伊藤先生がいたころは)英文和訳の採点がどのような基準でなされていたのかを知ることができると思います。そしておそらくその基準は大学の採点基準を上回る厳格さであることは、間違いないと思われます。
しかし、この本を平易に感じられなければ、自分の基礎が甘かったのだと思って、『ビジュアル英文解釈PART1』(駿台文庫)をやるなどして、基礎を固める必要があると思います。
ところでぼくの評価がなぜ星4つなのか。それはこの本による直接的な効果、即効性に乏しいのではないか、という懸念があるからです。これをやったからといって力が付いた、という性質の本ではありません。ですから、高3の春くらいに一気にやってしまって、その後のプランを立てるための道標、地図のようなものとしてやることをおすすめします。
やってみて!
浪人時代にひととおり英語の勉強をすませ、もう一度基礎的な参考書を何かやってみようかなと思ってやりました。僕自身英語がかなり得意になったしそんなに間違えないだろうと思っていたのですがかなりケアレスミスが目立ちました。私大を目指す人は英文を速く読むことに専念し基礎的な英文を訳したりする機会が少ないと思うのですが、もし今一つ英語の成績が上がらないとしたらやってみたらどうでしょうか?上級編までやる必要はないと思いますが中級までしっかりとこなすと早稲田や慶応などの難関大もそれほど怖くなくなってくると思います。英文の速読とは英文の精読の上にあることを忘れないでください。